ビルを「再生」して、新しい形で再活用しよう!
はじめに
現在、都市は空きビルが問題になりつつあります。50年前に建築された中小規模のビルにはエレベーターの設置もなく、あったとしても老朽化してきたり、また配管の老朽化の問題など使用上の問題がでてきます。
さらに再利用の上で課題となってくるのが耐震性能です。建築当時の法律と現代とでは、法律の基準が異なり適合しなくなってきている場合が珍しくありません。
とりわけ鉄骨造については、耐火被覆としてアスベストが吹き付けられているものも多く、年々規制が厳しくなっていくアスベストへの取り扱いを改修のときに解決しておくように計画に取り入れておくことが大切になってきています。コスト面がかなり厳しくなってきますが、計画段階において、実施したいことの優先順位をつけて、取捨選択をしていくことが必要です。
また鉄骨造では、柱と梁の溶接部の施工不良が多く現在の耐震基準に満たないことが多いことも特徴の一つです。
【既存建築物】
都内にある4階建ての鉄骨造のビルです。
このビルを改修して性能を向上させ、再活用する提案を企画します。
以下にこのビルのデータを記します。
建築年:昭和49年
構造:鉄骨造(アスベストによる耐火被覆なし)
階数:地上4階建て、塔屋あり(エレベーターなし)
延べ床面積:312.87㎡
計画
①ビルの上階を有効に利用すること
このために以下の3つを行います。
(1)エレベーターの設置
【改修計画案】
建物のアプローチを考慮して、エレベーターの設置を計画しています。
(2)既存階段部分の有効活用
【既存建築物】
上図の既存ビルは、閉鎖的な階段が向かって右側のビル内部に設置されています。
改修では鉄骨造の特色を生かして、開放的な空間に設計しました。
【改修計画案】
(3)上階の視覚的な効果をあげる
【改修計画案】
デザイン的にも外観を上階については、あえてインパクトを持たせるようにして、人々を誘うような計画としています。
②鉄骨造の耐震補強
【既存建築物】
鉄骨造における構造体の改修ポイントとして、柱と梁の接合部の溶接があります。柱がH型溝ということもあり、本来、突合せ溶接であるべき部分が隅肉溶接となっています。
【改修計画案】
改修計画では、プログラム上、不要な塔屋を除去して、柱・梁の溶接を是正するようにしています。
しかし、なお耐力が不足する可能性もあり、短手のほうには、柱を一本追加して、耐震面の性能を向上させています。
塔屋についても撤去して、メンテナンスハッチとして屋上の荷重を減少させました。
③電気・設備などのインフラ関係を一新
築50年も経つと、設備配管は劣化しており、また電気についてもコンピューターやインターネットの普及によりコンセントの不足、インターネット環境の整備など全面的に見直す計画となっています。
BIMXによるウォークスルー
下記サイトよりアクセスすることで当プロジェクトの3Dモデルのウォークスルーができます。
表示方法:
下の画像をクリック→画像の中央の△ボタンをクリック→画面左側の3Dをクリック→画面左下の3Dのアイコンをクリック