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竹富島
沖縄の 竹富島 は、年間40万人以上の観光客が訪れる人気の離島です。 この島の最大の魅力は、単なる観光地ではなく ”いまも人々が暮らす生活の場であること” です。歴史的な建物を集めたテーマパークのような空間には確かに郷愁がありますが、そこで暮らす「生活」はありません。一方で竹富島では、今も伝統的な民家や集落景観が 日常の空間として存在している のです。 竹富島を歩けば、実際に使われている赤瓦の家々や伝統的な石垣、沖縄独自の屋敷構えの集落景観を見ることができます。住民同士の会話、潮の香り、波の音、そよ風、そして太陽の光ー これらすべてが訪れる人々に、島の豊かな暮らしの息吹を感じさせてくれます。 しかし、観光復興と伝統的景観の維持を両立するには、 特別な配慮と規制 が必要です。各地の観光地でも同様の課題が見られます。例えば、川越の街並みでは、オーバーツーリズムによって、道路空間が慢性的に狭隘化し、車両と歩行者が交錯することで、様々な問題が生じています。歴史的景観を守る必要があるため、大規模な道路拡幅などのハード整備が難しく、対策として、大型連休などの一定期間に 歩行者天国を実施する運用面での対応 が取られています。 (https://www.city.kawagoe.saitama.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/014/498/240425otjigyouan.pdf ←川越市におけるオーバーツーリズム対策事業案) 竹富島においても信号機は設置されていませんが、住民は軽自動車などを日常の移動手段として利用しています。生活の場である以上、一定程度の車利用は避けられず、車社会である現代においては現実的な選択と言えるでしょう。そのため、竹富島では、美しい集落景観を守るために建築物や設備に対する景観規制を設けつつ、電柱やアンテナといった、必要不可欠なインフラについても、できる限り景観に配慮した設置が進められています。 また、建築技術や耐震性の基準が向上する中で、既存の伝統家屋の 構造補強や維持管理 は大きな課題です。竹富島は台風の通過が多い地域であり、強風や豪雨による損壊を受けるたび、住民自らが修復と保全を積み重ねながら、次世代へ集落の景観と暮らしを受け継いでいます。 このような ”ストック型のまちづくり” は、現代日本の都市が陥りがちな「スクラップ&ビルド」とは対照的です。壊して新しくするだけでなく、歴史あるものを活かしながら未来へとつなぐ取り組み は、これからのまちづくりのヒントを与えてくれるでしょう。
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